《文学で覚える四字熟語》太宰治の小説に出てくる四字熟語(実例付き)

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太宰治(だざいおさむ)

《文学×四字熟語》太宰治の小説に出てくる四字熟語(実例付き)

1909〜1948年、青森県出身。

愛人との心中や自殺未遂をくり返し、生活破綻者とも呼ばれた太宰治。しかしその素顔は、意外にもユーモアにあふれた人柄だったといわれています。

以下、彼の小説に出てくる四字熟語をいくつか紹介します。

 

◎太宰治『人間失格』

阿鼻叫喚(あびきょうかん)

ただ、一さいは過ぎて行きます。自分がいままで阿鼻叫喚で生きて来た所謂「人間」の世界に於いて、たった一つ、真理らしく思われたのは、それだけでした。ただ、一さいは過ぎて行きます。

阿鼻地獄(あびじごく)

しかし、それこそ最も強い痛苦で、自分の例の十個の禍いなど、吹っ飛んでしまう程の、凄惨阿鼻地獄なのかも知れない

危機一髪(ききいっぱつ)

おもてでは、絶えず笑顔をつくりながらも、内心は必死の、それこそ千番に一番の兼ね合いとでもいうべき危機一髪の、油汗流してのサーヴィスでした。

 

◎太宰治『走れメロス』

獅子奮迅(ししふんじん)

押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻かきわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐愍を垂れてくれた。

奸佞邪智(かんねいじゃち)

私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ。身代りの友を救う為に走るのだ。王の奸佞邪智を打ち破る為に走るのだ。走らなければならぬ。

疲労困憊(ひろうこんぱい)
よろめいて歩いて来る兄の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく兄に質問を浴びせた。

 

◎太宰治『お伽草紙』

臥薪嘗胆(がしんしょうたん)

あまりにも腕前の差がひどかつたならば、その時には臥薪嘗胆、鞍馬山にでもはひつて一心に剣術の修行をする事だ。

思慮分別(しりょふんべつ)

言語動作は重々しく、思慮分別も十分の如くに見える。服装だつて、どうしてなかなか立派で、それに何やら学問もあるさうで、

自家撞着(じかどうちゃく)

「なあんだ、若旦那。自家撞着してゐますぜ。さつきご自分で批評がきらひだなんておつしやつてた癖に、ご自分では、私の事を浅慮だの無謀だの、こんどは身勝手だの、さかんに批評してやがるぢやないか。

階前万里(かいぜんばんり)

「乙姫さまは、あなたの事なんか、もうとうにご存じですよ。階前万里といふぢやありませんか。観念して、ただていねいにお辞儀しておけばいいのです。

 

◎太宰治『女生徒』

一字一句(いちじいっく)

一字一行で、百円、二百円と広告料とられるのだろうから、皆、一生懸命だ。一字一句、最大の効果を収めようと、うんうん唸うなって、絞しぼり出したような名文だ。

「濹東綺譚(ぼくとうきだん)」

愛情の深すぎる人に有りがちな偽悪趣味。わざと、あくどい鬼の面をかぶって、それでかえって作品を弱くしている。けれども、この濹東綺譚には、寂しさのある動かない強さが在る。私は、好きだ。

「自己犠牲(じこぎせい)」

忍従を爽さわやかにさばいて行けるだけの叡智えいちもあったし、純粋の自己犠牲の美しさも知っていたし、完全に無報酬の、奉仕のよろこびもわきまえていたのだ。

 

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