▼これが美味しんぼから連想する四字熟語です
① 漸入佳境(ぜんにゅうかきょう)
話や状況などが、しだいに興味深い部分に入り込んでいくことを、「漸入佳境」といいます。
雁屋哲原作、花咲アキラ作画による漫画「美味しんぼ」は、「食」をテーマとして、食材や食料生産、加工に関わるさまざまな産業分野、健康や生活、環境問題、さらには人間関係、人生の在り方など、人間社会の文化全般に焦点を当てた、息の長い連載作品となっています。
物語のなかで、主人公の山岡士郎や、彼を取り巻く人々は、奥深い「食」の問題に直面しては、広い視野をもって、その真相を見極めていきます。その漸入佳境の物語進行は、いまも多くのファンの心をとらえつづけています。
② 父子相伝(ふしそうでん)
父から子どもへ、芸術や武術、学問などの奥義を伝えることを、「父子相伝」といいます。
「美味しんぼ」の物語の始まりでは、山岡士郎は、父親である海原雄山と義絶状態にあり、新聞社の企画での親子料理対決が始まってからも、折りにふれ、確執の深さを露呈させています。
けれども士郎は、もともと父親と同じような頑固で孤高を好む気質や、鋭い芸術的素養を持っていただけでなく、幼少期から様々な形で父親の影響や指導を受けて育っているため、第三者の目には、とてもよく似た父子と映るのでした。
実質的には、才能や技量を父子相伝されていると言えるかもしれません。
③ 珍味佳肴(ちんみかこう)
珍しい食べ物と、すばらしい酒の肴のことを、「珍味佳肴」といいます。
「美味しんぼ」に出でくる料理は、精密に描かれている絵と、物語のなかで語られる調理方法や、関わる人々の気持ちの深さに引き込まれるうちに、食感や味、温度までが伝わってくるように感じられて、思わず「食べてみたい!」と思ってしまいます。
なかなか口にする機会のなさそうな料理や食材も多く取り上げられていますが、身近な食材で作れそうなレシピが出てくるエピソードを読んだ時には、自宅での料理に取り入れるという方も、多いのではないかと思います。
「美味しんぼ」は、絵に描いた珍味佳肴というだけでは終わらない、読者のリアルな食文化に働きかける力を持った作品であると言えるでしょう。