《五里霧中の使い方》赤川次郎、夏目漱石、小林秀雄など使い方の実例集

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五里霧中(ごりむちゅう)」とは、物事の手がかりがつかめずにいること。この四字熟語の使い方の実例を紹介します。

 

▶︎寺田寅彦『物理学の応用について
もし問題の分析をせずに研究すればいつまでたっても要領を得ないで五里霧中に迷うような事になってしまう。甲の場合に試験した結果と乙の結果と全然齟齬したりするのは畢竟このためである。
▶︎松永真理『iモード事件』
私は若手に説明した。最初の「五里霧中」だった状態から、少し先が見えてきた。
▶︎夏目漱石『明暗』
しかし津田は感じなかった。彼は今日までその意味が解らずに、まだ五里霧中に彷徨していた。そこへお延の結婚問題が起った。
▶︎小林秀雄『モオツァルト』
もはや五里霧中の努力しか残されてはいない。努力は五里霧中のものでなければならぬ。努力は計算ではないのだから。
▶︎赤川次郎『自殺行き往復切符』
金田には、大沢のためらいが分る。妙なもので、五里霧中の間は、しゃにむに手掛りを求めて突っ走るのだが、いざ目の前にそれが置かれたとなると、今度はすぐに手を出すのが惜しくなってしまう。少しでも先に延ばしたいと思うのである。
▶︎石川啄木『詩』
四日前に出しやりたる 我が手紙、未だもどらず 返事来ず。今の所は 一向に五里霧中なり。アノ人の事にしあれば、 瓢然と鳥の如くに 何処へか翔りゆきけめ。
▶︎藤原正彦『若き数学者のアメリカ』
と同時に、その結果としてフロンティアを失った。 彼らは、どちらに向かって進んでよいものか五里霧中で立ちすくんでいる。 こういった外的、および内的要因が、若者を包んでいる漠然とした憂鬱感の主要原因のように思える。
▶︎松本清張『陸行水行 別冊黒い画集2』
また日田市に泊ったあとはどこに向ったのでしょうか。私には五里霧中でございます。警察の方も、その後の二人の足取りを極力調べる、と申されております。
▶︎吉川英治『三国志』
その先の見当は依然として五里霧中のここちだった。そうしてさまよっているうちに、ようやく自分を捜している悪来に出会った。
▶︎浅田次郎『壬生義士伝 下』
世の行く末が混沌として定まらず、まさに五里霧中であった鳥羽伏見の戦の直後、吉村先生は爆弾を抱いて蔵屋敷に転がりこんできたようなものだったのですから。算えの十六とはいえ父の囚われた今、私は大野家の主でした。
▶︎森村誠一『棟居刑事の情熱』
たとえ犯人を捕えても、奪われた被害者の生命を取り戻せない。容疑線上に二人の人物が浮かび上がったが、真相は依然として五里霧中である。
▶︎太宰治『人間失格』
お金は、くにから来る事になっているんだから、となぜ一こと、言わなかったのでしょう。その一言に依って、自分の気持も、きまった筈なのに、自分には、ただ五里霧中でした。
▶︎坂口安吾『吹雪物語』
まして文子の行先に、手掛りの見付かる当りが皆目なかつた。五里霧中の感を深かめたのみだつた。「炬燵の先生、大智恵者だね」他巳吉は益々満悦のていだつた。
▶︎夢野久作『復讐』
その当時はたしかにそれに相違無いという犯人の目星がついていたのですが、今となっては、その犯人が捕まらないために、事件全体が五里霧中の未解決のままになっているのです。
▶︎菊池寛『日本武将譚』
京城を飛び出したのも、逃げ出した国王の宣祖を捕える積りだったのだ。五里霧中で捜し廻っているうちに、二王子に偶然ぶっつかったわけである。その後清正は、その陣所が余りに敵地と接近しているので聊か不安を感じたためか、二王子の身柄を、安全な伊達政宗に托している。
▶︎太宰治『八十八夜』
ふっと気がついたら、そのような五里霧中の、山なのか、野原なのか、街頭なのか、それさえ何もわからない、ただ身のまわりに不愉快な殺気だけがひしひしと感じられ、とにかく、これは進まなければならぬ。一寸さきだけは、わかっている。
▶︎三浦綾子『銃口』
何十年後、初めて聞くこの話に驚き、私はこれをアレンジして小説の中に書いた。舞台が満州に移ってからは、更に五里霧中の感があった。が、それだけに眞杉章氏から懇切なアドバイスと多くの示唆をいただいた。
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