《連想四字熟語》村上春樹『風の歌を聴け』から連想する3つの四字熟語

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▼これが『風の歌を聴け』から連想する四字熟語です

抽黄対白(ちゅうこうたいはく)

抽黄対白」とは、美しい色を巧みに配合すること。また、美しい文章を作ることです。

村上春樹のデビュー作であり、群像の新人賞を取った「風の歌を聴け」。
一世を風靡した本書は発表されてから今に至るまで、幾多の人々の間で推察と口論が繰り広げられてきた本です。
登場人物の殆どの名前が明確にならず、作品内に登場する作家すらも架空の小説家であったりと、ある意味で人を食ったような小説でもあります。

この小説はカート・ヴォネガットJr.やリチャード・ブローディガンといった作家の影響を受けていると言われています。
そのアメリカ文学の素養と散文的な表現を見事に織り交ぜ「抽黄対白」させる村上春樹の手腕が、このデビュー作でも見事に表現されているのです。

自在不羈(じざいふき)

自分の思うとおりに行動し、束縛されないことを「自在不羈」といいます。

この小説の中で「僕」と出会うことになる「鼠」は、「自在不羈」な存在として描かれます。
二人は大学に入った年に出会い、泥酔した状態で乗ったフィアット600で事故を起こしますが、二人とも無傷だったことが切っ掛けとなり行動を共にすることになります。

鼠の好物は、焼きたてのホットケーキを何枚か重ねた上にコカ・コーラを1瓶かけたもの。
「僕」はそれを不気味な食べ物だと評価しますが、鼠はこう言います。
「この食い物の優れた点は、食事と飲み物が一体化していることだ」
そのように自分の視点や考えを基準にし、周りの評価を気にしない「自在不羈」な行動をとる「鼠」。
ただそんな彼も、ブルジョア階級になじめない自分の性格や女性関係に悩んでいます。
どれだけ「自在不羈」をつらぬいたとしても、周りの潮流は変わらず自分だけが浮いているような状態になってしまうのです。

僕」もまた、付き合っていた女性の死に深い悲しみを覚えています。
そして自分が生まれ育った街に愛着や郷愁をもちません。
地元や田舎というものは大切に扱われがちですが「僕」はこう考えています。
「大学に入った春にこの街を離れた時、心の底からホッとした」と。
「僕」と「鼠」に共通するのは、そういったヴァガボンド的な思考、言い換えれば資本主義へのアンチテーゼだと言えるのかもしれません。

ただ実際にこの小説から感じられるのは、あくまでもポップでクールな印象です。
村上春樹はあえて軽薄な文体にすることで、「自在不羈」の代表的な存在でもあるヒッピームーブメントのような、明るいアンチテーゼを描きたかったのかもしれません。

風狂無頼(ふうきょうぶらい)

常識を大きく逸脱し、無法な振る舞いを行いながら、妥協することなく芸術や哲学的な探求に邁進する様を「風狂無頼」といいます。

村上春樹はあるインタビューで「心理描写みたいなことなしでも小説はまっとうに書けるんだと、目をひらかれたんです」と言いました。
登場人物は悲しみを抱えながらも、小説の印象は暗くなりすぎない。
それを表現する為に心理描写を極力抑え、文壇に対する「風狂無頼」とも取れる挑戦をします。
その結果、心理感情の表現こそが小説の醍醐味だ、という日本の文学小説の一般認識に風穴をあけました。

登場人物の思考があまり表立って書かれないこの小説の中で、感情の発露が一際印象的なシーンがあります。
それはラジオN・E・BのDJが手紙を紹介する場面です。
送られてきた手紙を読んだDJは港から眺める街の明かりを見て、色んな人が生きているのを実感して涙を流します。
その後にDJがラジオで伝える言葉はあえてここでは書きませんが、その言葉はこの小説で唯一といって良いほど感情的な一言です。

人そのものを描くのではなく、登場人物の視点を借りながら、冷静かつヴィヴィッドに変わりゆく街やその時代の流れを表現しました。
だからこそ「風の歌を聴け」は、「風狂無頼」であるにも関わらず人の心に残り続ける物語になったのではないでしょうか。

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