《舌先三寸の使い方》野坂昭如、阿久悠、塩田丸男など使い方の実例集

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舌先三寸(したさきさんずん)」とは、口先だけの巧みな弁舌のこと。この四字熟語の使い方の実例を紹介します。

 

▶︎野坂昭如『受胎旅行』
だが朋輩が、やれ腰が抜けたの、茶臼には弱いのと、いかに心こわく保ってみても、つい手練れには泣かされるその経験まったく政江になく、たちまち身についた先の出方でどうにでも話合せる舌先三寸、ふんふんとうなずいてはいても、女の悦び、傷病兵をしるまではついぞ心得なかった。
▶︎阿久悠『続・瀬戸内少年野球団紅顔期』
舌先三寸の千三つで、ブギウギトンボは、戦後をたくみに泳ぎきって来たらしい。何度か詐欺に問われるような危い橋を渡りながらも、現在は名刺の肩書き通りの商事会社社長におさまっているようである。
▶︎塩田丸男『口下手は損ですか 面白い話をするための12章』
などという話になったりする。Kは舌先三寸でPを突き落としたわけである。だが、KはPを悪しざまにいったわけではない。
▶︎K・H・シェール『地球人捕虜収容所』
第一ラウンドはこっちが勝ったとブーンは思った。 自分の舌先三寸で尋問官に、貨物船乗員がたったいま積み荷の内容を知ったのだと確信させたのだ。 グリーンズ艦隊の将校が指揮を引きうけ、地球人たちは兵員集合所を出ないように命令された。
▶︎近藤史恵『凍える島』
いま、言うべきだろうか、警察の前で、言ったほうがいいのか。 だが、この人の舌先三寸で丸め込まれて、新たなる犠牲者がでないと、どうして言えるのだ。 わたしは、決心して顔をあげた。
▶︎阿刀田高『詭弁の話術』
当意即妙、さすが舌先三寸のプロフェッショナルであった。ソクラテスの弟子アリスティッポスは、だれがなんと言おうと〝わが道を行く〟快楽主義の哲学者であったが、この人もなかなか屁理屈がうまい。
▶︎三浦綾子『塩狩峠 道ありき』
人の言葉というものは大事なものである。 舌先三寸で人も殺すが、また活かすこともあるのだ。
▶︎陳舜臣『秘本三国志 06 (六)』
口舌の徒である。舌先三寸で、人の心をうごかす人物なのだ。
▶︎陳舜臣『秘本三国志 06 (六)』
舌先三寸で人の心をうごかす秘訣ひけつをきかれたとき、李叢はそう答えた。 李叢は自分の故郷のことを『倭』と呼んだ。
▶︎里中哲彦『鬼平犯科帳の人生論』
舌先三寸のかけひきが蔓延している。好漢、自重されよ。
▶︎平野雅章『食物ことわざ事典』
「大きな原因は食生活の変化」だと、博士は分析しています。政治家や料理の専門家も、カロリーやビタミンや舌先三寸の味のことばかりでなく、特定の風土や家庭に伝えられてきた食べものや料理の数々を、土産土法の観点から今いちど見直す必要があります。
▶︎澁澤龍彦『世界悪女物語』
彼が甘んじて頭を下げたのは女王に対してだけである。彼の雄弁はおどろくべきもので、舌先三寸で女王を動かして、ヴァージニア経営の莫大な資金をまんまと手に入れてしまった。これには世智にたけた宮廷人も、あいた口がふさがらなかった。
▶︎鈴木大輔『ご愁傷さまニノ宮くん 05』
まったく、こういう時ほど自分の口下手さが恨めしい時はない。 姉や美樹彦みきひこあたりなら、舌先三寸したさきさんずんのみを駆使くししてこの連中をあしらってしまうだろうに。
▶︎小林信彦『世界の喜劇人』
ところで、ロード・ピクチュアはボブ・ホープという個性を抜きにしては考えられない。 ホープはスラップスティックの面では見るべきところがないが、舌先三寸の芸においてはちょっと類がない。 とくに、ちょっと間をおいて呟く捨台詞の妙味は真似手があるまい。
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