《自縄自縛の使い方》太宰治、スタンダール、芥川竜之介など使い方の実例集

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自縄自縛(じじょうじばく)」とは、自分の縄で自分を縛るように、自分自身の心がけや行動によって、動きがとれなくなり、苦しむことのたとえ。この四字熟語の実例を紹介します。

 

▶︎スタンダール『赤と黒』
疑いはそのままにしておいて、なんのせんさくもしないほうがよくはないか?そうすれば、おれは自縄自縛だ。
▶︎森村誠一『異型の街角』
席を蹴って立てば、逃げ出したように見られる。土門は自縄自縛の体であった。
▶︎太宰治『ダス・ゲマイネ』
はじめに逢ったひとには、ちょっとこう、いっぷう変っているように見せたくてたまらないのだ。自縄自縛という言葉がある。ひどく古くさい。
▶︎赤瀬川隼『人は道草を食って生きる』
書こうと思い立ったエッセイのテーマが「道草」だからだ。これこそ自縄自縛というべし。そんなもの書かなければいいではないかと言われそうだが、やっぱりこのテーマで書いておきたいのだ。
▶︎芥川竜之介『るしへる』
即安助高慢の科に依って、「じゃぼ」とて天狗と成りたるものなり。破していわく、汝提宇子、この段を説く事、ひとえに自縄自縛なり、まず DS《でうす》 はいつくにも充ち満ちて在ますと云うは、真如法性本分の天地に充塞し、六合に遍満したる理を、聞きはつり云うかと覚えたり。似たる事は似たれども、是なる事は未だ是ならずとは、如此の事をや云う可き。
▶︎横溝正史『山名耕作の不思議な生活』
私はそのとき初めて、心の中で勝利を叫んだのでございます。 徹は私のそのことばで、まったく自縄自縛に陥ったのでございますもの。 ふたたび徹の姿にかえらないかぎり、徹は二度と私に求愛することはできないのです。
▶︎片山泰久『量子力学の世界』
そこで磁場という目に見えない縄を用いて容器を作る。 幸いにもプラズマは自身でも磁場を作り、自縄自縛をする性質をもっている。 これをピンチという。
▶︎海野十三『地獄の使者』
これには大寺警部も、すぐに応える言葉を知らなかった。 窓のところの証拠固めは彼がしたのであったから、今彼は自縄自縛の形になってしまったわけだ。
▶︎平野万里『晶子鑑賞』
斯ういふ現実放れのした歌は、その後我々の方でも余り作られなくなつてしまつたが惜しいわけである。 自縄自縛といふことがあるが、現在の歌作りがそれである。
▶︎田中芳樹『銀河英雄伝説 10 落日篇』
ここに軍務尚書オーベルシュタイン元帥がいたらどうするだろう、とすら、ふと思ったのは、ミッターマイヤーの心境の深刻さを証明するものであった。 ここで帝国軍は深刻な自縄自縛におちいってしまっていた。
▶︎坂口安吾『鉄砲』
要するに、平和を保つ思想に発した武士道で、実戦に即応したものではない。 否、戦略の立場からは自縄自縛の障りとなり、戦勝には縁の遠い保守的なものだ。 実戦の奇略狡智は葬り去られ、一騎打や蛮勇が謳歌される。
▶︎平井和正『狼の紋章』
私立校である博徳学園の崩壊すら招きかねなかった。 校長はおのれの保身策のため、自縄自縛の羽目におちいっていたのだった。 有能な教師たちは、見切りをつけて次つぎに辞職していき、転校する生徒も増加の一途をたどった。
▶︎湯川秀樹『この地球に生れあわせて』
それは狭い意味での学習より以前でありますけれども、学習以前がまた非常に大事なのです。 私は自己制御なんて、非常にむつかしい、自縄自縛みたいな題をつけて困っているんです。 これも自己制御しすぎたんですけれども、英語ならセルフ・コントロールですね。
▶︎坂口安吾『文章の一形式』
むしろ一々の文章にかういふひねこびた真実を強ひられると、飛躍した高処に何物の姿をもとらへることができなくなつてしまふばかりだ。 そのうへ、それ自らとして独立した実感を持つにしても、部分と部分との連絡の際に、曲芸を行はない限り自由に進行もできないやうな自縄自縛におちいる危険はありはしまいか。
▶︎柴田錬三郎『赤い影法師』
主人公の性格や状況の設定には現代の状況と通ずるところがあって、パロディとしての面白さをもっていた。 しかし狂四郎の登場しない場面の索漠さくばくさは否定することができず、作者の筋立てが自縄自縛となったという趣はある。
▶︎福井晴敏『機動戦士ガンダムUC 03 赤い彗星』
あいつは、あのバナージとかいう民間人の少年は、彼女を救うために<<ガンダム>>に乗った。 場当たり的に人質を取り、自縄自縛に陥った大人たちをよそに、彼だけが行動を起こしたのだ。 彼女がミネバ・ザビであろうとなかろうと、気に留めもせずに。
▶︎池宮彰一郎『四十七人の刺客(上)』
こうすれば危ない、ああすれば不利を招くと、余分な配慮で自らの行動が、がんじがらめになる。 数右衛門は自縄自縛の態ていで身動きが出来なくなっていた。 その窮地を打開したのは、思いもかけぬ名刀の威力であった。
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