▼これが北斗の拳から連想する四字熟語です
① 黯然銷魂(あんぜんしょうこん)
深い悲しみや憂鬱に沈み込み、悲嘆にくれて力を失う様子を、「黯然銷魂」といいます。
武論尊原作、原哲夫作画の漫画「北斗の拳」の世界は、核兵器による最終戦争で、文明社会が崩壊した後の時代です。力を持たない多くの人々は黯然銷魂として、弱肉強食の運命に従っていますが、力のある者達は、暴力と恐怖によって生き延びようとしています。
その無情の暗黒の世界のなかで、愛と哀しみの心を知り、慈愛をもって人を守ろうとする主人公のケンシロウは、激しい戦いを経て、やがて世界の救世主となっていきます。
② 寸善尺魔(すんぜんしゃくま)
世の中には、善はほんの少しであり、悪いことばかりが大量にあることを、「寸善尺魔」といいます。
漫画「北斗の拳」の世界は、文明的な秩序が崩壊していて、暴力なしには身を守ることのできない世の中になっています。誰もが力に頼り、善意やまごころを信じることがないため、社会はどこまでも殺伐として、力あるものも心の中にある愛を封殺して生き延びようとします。
そうした寸善尺魔の世界観、人生観は、現実の人間の歴史において、これまで何度となく繰り返し出現してきているものです。そのことが、架空の物語である「北斗の拳」に、重い存在感を与え、読者の心に深い共感をもたらす源となっています。
③ 開雲見日(かいうんけんじつ )
世の中を覆う厚い暗雲を吹き払い、希望や光を見いだすことを、「開雲見日」といいます。
力弱い人間が、愛や思いやりなどの気持ちを持っていては、とても生きていけない世界を背景としている「北斗の拳」ですが、愛を守るに足る強さがあれば、暴力を是とする思想に取り込まれずに生きることも可能でした。
人を思い、愛する心の強いケンシロウは、戦いに打ち勝っていくにつれ、その存在そのものが開雲見日の力となり、世の中の大きな希望となっていきました。