▼これが鉄腕アトムから連想する四字熟語です
① 前程万里(ぜんていばんり)
将来が非常に有望で、可能性が大きく開けていることを、「前程万里」といいます。
手塚治虫が「鉄腕アトム」の雑誌連載を開始したのは、1952年、第二次世界大戦が終わって、まだ7年しか経っていない時期でした。作中では、ロボットなどの科学技術が大きく発展した未来社会が描かれ、人々が心に抱く未来への可能性に、大きな影響を与えました。アトムにあこがれた当時の子どもたちは、21世紀の日本社会は「前程万里」であると信じたことでしょう。
② 矛盾撞着(むじゅんどうちゃく)
ものごとの前後が食い違い、つじつまが合わなくなることを「矛盾撞着」といいます。
「鉄腕アトム」に描かれる未来社会は、必ずしも夢の楽園ではありませんでした。科学技術が発達したことによって、人々の暮らしは快適になった反面、科学兵器も凶悪化し、思想や民族による対立は、それ以前の時代よりも一層深刻な戦争の危険を孕むようになっていきます。またアトム自身も、人によって作られたロボットでありながら人の心を求められるという、「矛盾撞着」ともいえる苦悩を持つことになります。
③ 有智高才(うちこうさい)
生まれつき高い知能があるだけでなく、学習努力によってさらに能力を高めた状態にあることを、「有智高才」といいます。
「鉄腕アトム」が生み出されたのは、半世紀以上も前にことになりますが、本作を読んで科学の発展に大きな夢を抱いた子どもたちのなかから、後にロボット工学を志す専門家が多数出て、現代のロボット技術発展の礎を築く力になったと言われています。そういう意味で、「鉄腕アトム」という作品は、社会の発展の原動力となる「有智高才」の人材を育てるゆりかごであったとも言えるでしょう。