《連想四字熟語》村上春樹『ノルウェイの森』から連想する3つの四字熟語

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▼これが『ノルウェイの森』から連想する四字熟語です

精思苦到(せいしくとう)

精思苦到」とは、細かに考え苦しみの末に行き着くところです。

『ノルウェイの森』は、飛行機に乗る37歳のワタナベノボルが、機内でかかったビートルズの同名曲を切っ掛けにして様々な事を思い出し、混乱する場面から始まります。

この曲を聴いてしまった事で、自殺してしまったかつての親友キズキ、数年後にその後を追うようにして自殺した直子、直子の保護者でもあったレイコ、同族嫌悪のような感情を持っていた先輩との対話や、いつの間にか失ってしまった時間などの数々の想いが、ワタナベの中にわき出してきます。

その記憶こそが、この物語を組み立てる要素となっているのです。そしてその記憶とは、かつてワタナベが精思苦到したものだったのです。

湛然不動(たんぜんふどう)

静かに落ち着いて揺るがない事を「湛然不動」といいます。

ワタナベの住んでいた寮の先輩である東大生の永沢は「死後30年以上経った作家の本しか信用しない」「自分に同情するのは下劣な人間のすることだ」と独特な思考をもった人間です。その人間とある種の似通りを持っていたワタナベは「この男にだけは何があっても心を許すまい」と決心するのですが、どこかで憧れに似た感情を抱きます。

永沢とその彼女との交流でいつの間にか、自分の中の「少年期の憧憬のようなもの」を揺り動かされていたのです。意地が悪い見方をすれば、我が儘だと取られかねないその生き方は、ある意味ではとても辛いものです。しかしそういう生き方しか出来ない人間にとっては辛さやしんどさよりも守るべきものがあり、ワタナベや永沢のように自然と湛然不動とした生き方になっていくのです。

疑事無功(ぎじむこう)

疑いながら、またためらいながらの行動は、成果を得ることが出来ないという意味を持つ「疑事無功」。一度決めた事は決然として断行すべき、という戒めの意味でもあります。

直子を守る為に待ち続けようと決めたワタナベ。しかしその直子の死によって、ワタナベの生活は一変します。

キズキに対する遠慮や、同級生の緑に対する感情が知らずのうちに直子に伝わってしまっていたのか、ワタナベの行動とは関係なくキズキを追いかけて行っただけなのか、それは最後までわかりません。直子の世話係であったレイコからは、なにがあろうが最終的には前を向くしかないんだという意思を受け取り、同級生の緑との関係性は0からの再スタートとなります。

その関係も結局うまく行ったのかどうかはわかりません。ただ、疑事無功での言動は本当に意味がないのか。悪い結果しか生み出さなかった行為は無駄だったのか。その葛藤こそが、村上春樹が『ノルウェイの森』で伝えたかった事ではないでしょうか。

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