《文学で覚える四字熟語》坂口安吾の小説に出てくる四字熟語(実例付き)

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坂口安吾(さかぐちあんご)

《文学×四字熟語》坂口安吾の小説に出てくる四字熟語(実例付き)1906〜1955年、新潟県出身。

昭和の戦前・戦後にかけて活躍した近現代日本文学を代表する作家の一人。戦後、旧来の道徳観を否定した「堕落論」や小説「白痴」で、混乱した世相に衝撃を与えました。

以下、彼の小説に出てくる四字熟語をいくつか紹介します。

 

◎坂口安吾『堕落論』

大義名分(たいぎめいぶん)

日本人の如く権謀術数を事とする国民には権謀術数のためにも大義名分のためにも天皇が必要で、個々の政治家は必ずしもその必要を感じていなくとも、

肝胆相照(かんたんあいてらす)

昨日の敵と妥協否肝胆相照すのは日常茶飯事であり、仇敵なるが故に一そう肝胆相照らし、忽ち二君に仕えたがるし、昨日の敵にも仕えたがる。

 

 

◎坂口安吾『続堕落論』

不撓不屈(ふとうふくつ)

大化改新以来、農村精神とは脱税を案出する不撓不屈の精神で、浮浪人となって脱税し、戸籍をごまかして脱税し、そして彼等農民達の小さな個々の悪戦苦闘の脱税行為が実は日本経済の結び目であり、

悪戦苦闘(あくせんくとう)

戸籍をごまかして脱税し、そして彼等農民達の小さな個々の悪戦苦闘の脱税行為が実は日本経済の結び目であり、

談論風発(だんろんふうはつ)

やっぱり嘱託の一人にSという新聞聯合の理事だか何かをしている威勢のいい男がいて、談論風発、吉川英治と佐藤紅緑が日本で偉い文学者だとか、そういう大先生であるが、

 

 

◎坂口安吾『白痴』

喜怒哀楽(きどあいらく)

まるで最も薄い一枚のガラスのように喜怒哀楽の微風にすら反響し、放心と怯えの皺の間へ人の意志を受け入れ通過させているだけだ。

大同小異(だいどうしょうい)

共産主義も要するに世界聯邦論の一つであるが、彼等も人間の対立に就て、人間に就て、人性に就て、咢堂と大同小異の不用意を暴露している。

意気投合(いきとうごう)

ある幸多き年のこと、気違いが発心して白装束に身をかため四国遍路に旅立ったが、そのとき四国のどこかしらで白痴の女と意気投合し、遍路みやげに女房をつれて戻ってきた。

無我夢中(むがむちゅう)

思わず目頭が熱くなったり、ズドズドズドは爆撃の音、無我夢中で地上に伏し、パンパンパンは機銃の音、およそ精神の高さもなければ一行の実感すらもない架空の文章に憂身をやつし、

相互扶助(そうごふじょ)

それによって各自の凡庸さを擁護し、芸術の個性と天才による争覇を罪悪視し組合違反と心得て、相互扶助の精神による才能の貧困の救済組織を完備していた。

竜頭蛇尾(りゅうとうだび)

焼夷弾にはガラガラという特別不気味な音響が仕掛けてあっても地上の爆発音がないのだから音は頭上でスウと消え失せ、竜頭蛇尾とはこのことで、蛇尾どころか全然尻尾がなくなるのだから、決定的な恐怖感に欠けている。

 

◎坂口安吾『紫大納言』

一族郎党(いちぞくろうとう)

ワッハッハッハ。天つ乙女の軍勢が攻め寄せて来ますかな。いや、喜び勇んで一戦に応じましょう。一族郎党、さだめし勇み立って戦うことでありましょう。

酔生夢死(すいせいむし)

死ぬことは、悲しくなかった。短い一生ではあった。酔生夢死。ただそれだけのことだった。

 

 

◎坂口安吾『真珠』

本末顛倒(ほんまつてんとう)

何のために小田原へ来たのだか、分らなくなつてしまつたけれども、かういふ本末顛倒は僕の歩く先々にしよつ中有ることで、仕方がない。

自信満々(じしんまんまん)

あなた方はまだ三十に充たない若さであつたが、やつぱり、自信満々たる一生だつた。

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