▼これが火の鳥から連想する四字熟語です
① 天壌無窮(てんじょうむきゅう)
天と地が未来永劫存在し、極まることのない状態を、「天壌無窮」といいます。
手塚治虫の名作「火の鳥」は、不死の存在である火の鳥が、愚かで業の深い人々の歴史に寄り添うように存在し、時には見守り、時には突き放しながら、その輪廻の有り様を永遠に見つめています。人の歴史は、天壌無窮たる宇宙のなかで、かすかなさざ波を立てながら繰り返されていきます。
② 因果応報(いんがおうほう)
過去や前世によい行いがあれば、よい報いがあり、悪い行いがあれば、それなりの悪い報いがあるという考え方を、「因果応報」といいます。
「火の鳥」という、途方もないスケールの作品のなかには、この因果応報の考え方が、随所に現れます。時には悪意から、あるいはやむを得ない事情から、他人を害するなどの悪事を働いてしまう人物達は、かならず因果応報の法則に捕らえられ、そこから抜け出ることが出来なくなっていきます。
③ 不老不死(ふろうふし)
年を取らず、老いることのない状態を、「不老不死」といいます。
火の鳥は、作品中では、あらゆる叡智を自らの中に蓄えた不老不死の存在ですが、百年に一度だけ、自らを焼き滅ぼして、新しく生まれ変わります。そうした在り方は、通常の地球上の生き物としては全くあり得ないもので、命を超越した存在であることを示しています。
それに対して人間を含めたすべての生命体は、束の間の命しか持たなないばかりか、ささやかな幸福すら簡単に見失って苦しみの中で死を迎えることを運命づけられた、みすぼらしく、はかない存在にすぎません。その残酷なコントラストを宿命として受け止め、それでもある種の強さと誇りをもって生き抜いていく魂たちが、作中では力強く描かれていきます。