▼これが伊能忠敬から連想する四字熟語です
① 安寧秩序(あんねいちつじょ)
集団内に摩擦やもめごとがなく、公共の安全が望ましい状態に保たれているさまを、「安寧秩序」といいます。
伊能忠敬は、江戸時代の測量家として知られていますが、それは隠居後の仕事であり、もともとは腕のいい商人で、村のとりまとめ役として、争いごとの仲裁をしたり、奉行所と交渉ごとを引き受けたりして、問題を解決し、安寧秩序を守る立場にあったことは、あまり知られていないようです。
② 博施済衆(はくしさいしゅう)
民衆に恩恵を与え、飢饉などの苦しみから救済することを「博施済衆」といいます。
伊能忠敬は、酒造業のほか、米なども取り扱う商人でしたが、天明の飢饉の時に、私財を投じて村の人々を救済し、餓死者を出しませんでした。
③ 図南鵬翼(となんほうよく)
巨鳥のように大きな志をもって、大事業を計画することを「図南鵬翼」といいます。
伊能忠敬は、子供のころから算術や医学を習うなど、学問を好む傾向がありましたが、五十歳で息子に家業を譲って隠居し、天文学者の高橋至時に弟子入りします。その後、寸暇を惜しんで学問に打ち込み、七十四歳で亡くなる前年まで、日本全国の測量と地図製作の仕事をつづけました。忠敬は地図の完成を待たずに亡くなりましたが、その生涯はまさに図南鵬翼のためにあったと言えるでしょう。